夫が肺腺がんの治療のために薬を飲み始めて、76日経ちました。

76日=10週6日=2ヶ月15日。

なんだか、改めて数字にしてみるドキリとします。

今日は、今年初めての通院日。血液検査とCTをして経過を確かめます。

病院の待合室で、テレビをぼんやり眺めていると、今まさに自分のいる病院が画面に映り、びっくりです。


コロナ禍の中、新型コロナウイルス患者も、救急医療も、そして地域の医療も、すべて受け入れている病院のひとつとして、その現状の姿を紹介している番組でした。

中等症まで受け入れていた状態から、患者が重症化しても転院先が見つからず、急遽、簡易減圧室を作って対応していると、その綱渡りともいえる病院内の現在の姿が映っていました。

どこかの話、テレビ画面の出来事だったお話が、急に現実味を帯びました。

地域医療の要の病院のひとつだから、こうして診察を待っている間にも、たくさんの人が採血検査を受け、点滴治療を受け、待合室は患者たちで溢れています。看護師さんたちも、忙しく動き回っています。

そんな病院内の人たちを眺めていると、「コロナはただの風邪。怖がる必要はない。」と、いまだに言っている人がなぜいるのだろう?となんだか怒りが沸いてきました。

人の価値観というものは人それぞれで、どう考えるのかは自由です。

自分と違う意見だからと言って、どちらが正しいと言いたいわけでもないのです。

でも……。

でもね。

コロナはただの風邪とか、陰謀論だとかコロナ脳だとか。

確かにコロナは風邪の一種です。ですが、「ただの」と、どうしてつけて言わないといけないのでしょう。

風邪は万病のもとって言葉があるくらいなのに。

ウイルスは、細胞がないから、人の細胞に入り込んで自分の遺伝子に書き換えて生き残ります。自力で動くことはできないし、自力で増殖はできない。

極論を言えば、人が移動をやめてしまえば、彼らも生き残ることはできないのです。

もしかして、元気に動き回われる人たちをウイルスが自分の思惑通り動かしているんじゃないか、なんて考えていたら、あのドキドキするチャイム音と共に、夫の番号が表示されました。


検査の結果、多少の白血球減少は見られるものの、今使っている薬の効果が続いているとのこと。引き続き薬を使っていけることになりました。

最近、夫の指先の皮膚が弱くなり、絆創膏が必須になりましたが、軽い副作用で済んでいます。

告知された時の絶望感を考えると、今は希望を感じることができます。本当にありがたいことです。


家に戻ると、娘が焼いたブラウニーが、テーブルに置かれていました。

ブラウニーの写真
家族でティータイムです


100%、人はいつかこの世を去ります。これはまぎれもない事実です。

その日まで、いろいろな情報の中でさまざまな選択をして生き延びようとします。

SNSの時代だから、価値観の似た者同士だけで、集まることは簡単にできます。

その仲間内の情報がもし間違ったものだったら?

ネット社会とつき合っていく限り、エコーチェンバー現象には気をつけようとそう思うのでした。


それでは、またね。チョークディナカー